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ドイツは第2次大戦中にユダヤ人迫害など人種差別を国家として行った過去への反省もあり、難民に寛容な政策を取ってきたが、地域社会ではそのひずみが深刻化している。

 

ドイツでは難民などの保護申請者数が2014年の約20万人から今年は戦後最多の45万人に急増する見込み。

放火など難民施設の被害は今年上半期だけで約200件に上り、既に昨年1年間の件数を上回った。デメジエール内相は「(暴力事件は)法治国家への攻撃だ」と非難したが、7月には東部ライプチヒ近郊の難民施設に銃弾が撃ち込まれた。





 

東部の町フライタールでも支援に熱心な地元政治家の車が爆破されるなど、事態悪化の兆しすらある。受け入れ反対のデモも各地で開かれ、参加者は難民対策に多額の税金が投じられることへの不満やテロリスト潜入の恐れを訴える。

 

地元テレビの調査では回答者の62%が「難民は最も喫緊の課題」と述べ、国民も抜本的対応を求めている。
南部バイエルン州のゼーホーファー州首相は「ドイツにとどまる見込みのない人々の手続きを早めることが重要」と強調、申請の結果待ち期間を短縮し、保護に要する費用を抑える方針を示した。

 

ドイツにはコソボなどバルカン半島からの流入者も多いが、一定数は「避難を余儀なくされた」難民とはみなされず、速やかな送還の対象になると考えられている。

 

だが、こうした措置が効果を発揮するかは未知数。31日の独テレビの電話投票では「難民をこれ以上受け入れるべきでない」との考えに賛同する視聴者が94%に達し、世論の硬化をうかがわせた。

 

今日ドイツにおいて活躍している極右政党やネオナチ・グループは、最近になって登場してきたのではなく、それなりのルーツもっている。


 

そのルーツをさかのぼり、かつての極右勢力の登場・伸張・後退の跡をたどっておくことは、今日の極右勢力の特質を理解し、その運命を考えるためにも必要であろう。

 

戦後ドイツ史の中で、極右勢力は隆盛と衰微を繰り返しながら、ナチス的な理想の浸透を試みたり、不況と失業という経済状況を背景に外国人労働者・難民の排斥を訴えてきた。

 

その形態は議会に足場を作ることを目指し、合法の枠内で活動する極右政党と、「ヒトラーを知らない世代」を中心に構成され、先鋭的な行動に出るネオナチ・グループの2種類に大別できるが、特に東西ドイツ統一後は極右勢力の動向はドラスティックであり、複雑を極める。

 

現在の極右現象で特筆すべきは、1990年代初頭のホイヤースヴェルダやロストックで起こった難民収容施設襲撃事件の顛末からわかるように、極右勢力の活動が広く国民に好意的に受け入れられているということ、そして、序論でも述べたように国際的にもその影響を広げているということである。

ドイツの失業問題には依然として改善の兆候がみられず、外国人に対する反感の念は根強い。加えて、世界的にさまざまな社会不安が蔓延していることから、現在のような極右現象は今後も続いていくと考えられる。

 

また、今後も「過去の克服」に影を落とす極右現象が続いていくことは十分に考えられることである。

 

しかしこれまで同様、ドイツは「過去の克服」の逆流を阻止する努力をしていかなければならない。

それがナチスを生んだ国の道義である。最近の排外主義高揚の根源を取り除くためには、少子高齢化社会の中で、排斥どころか逆に外国人労働者が必要であるということを政策的努力で世論に訴えるのが一番有効であろう。

 

現在のシュレーダー政権は実際にそれを実行に移している。極端な思想がはころびるのを防ぐためにも、ドイツはこのような国際的な極右現象に率先して対策を講じていくべきではないだろうか。そして、よりよい国つくりに国民全員で取り組んでほしい。