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22日、政府は2020年夏季東京オリンピック・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場について、陸上競技と球技の両立を可能とする可動式観客席を見送る方針を固めました。
オリンピック後は陸上トラック上に常設席を増設する案が浮上しており、国際基準の陸上競技に必要なサブトラックの設置についても交渉が難航。





これにより、「陸上の聖地」と呼ばれていた国立競技場はオリンピック後に、球技専用となる可能性が出てきました。
これまで建築や競技場の専門家のいないJSCのずさんな計画が原因で、新国立競技場の建設費が多すぎるという批判から白紙見送りになり、一から建設費の見直しと削減を目標に話し合いが進められてきました。今回の可動式観客席見送りの発表は、新たな波紋を呼びそうです。

可動式観客席見送りになった理由

当初の目的であった新国立競技場の多目的施設は、オリンピック・パラリンピック後にどのように有効利用できるのか、という問題を解消するためでした。

もしもオリンピック・パラリンピックだけのために建設されるならば、オリンピック後の維持費が加算し、取り壊すはめになりかねないからです。
そうならないためにも、多目的施設としてオリンピック後の有効利用に、サッカーやラグビーの球技や陸上競技や文化イベント、といった興行で新国立競技場の維持費を確保できると見込んでましたが、そのことが原因となり莫大な建設費用が生まれ、世間からの批判を浴び、今回の可動式観客席の撤廃という決断で、建設費用を大きく削減することになりました。
しかし、当初の目的である多目的施設が、オリンピック後には陸上トラック上に常設席を増設することになってしまい、イベントや陸上競技が行えなくなる弊害が出てきました。
「陸上の聖地」と呼ばれた国立競技場が無くなってしまうのは寂しいですが、球技専用になるならば、果たして新国立競技場の維持費用は確保できるのか、という矛盾が生じてきます。


陸上競技場が使えなくなる訳とは

新国立競技場の観客席6万5千人は国際オリンピックの基準は満たしていますが、陸上競技の開催へのハードルとなるのが、サブトラック問題です。

オリンピックでは新国立競技場に隣接する神宮外苑の軟式野球場に仮説し、陸上の国際基準を満たすことになっています。

しかし、政府はすでに新国立競技場周辺でのサブトラック建設は断念。神宮側は「軟式野球場は利用客が多い」として、仮説はオリンピック・パラリンピック限定にするよう求めています。
外苑内の秩父宮ラグビー場の立て替え計画にあわせ、サブトラックを一体整備する案もありますが、東京都は総工費の面から難色を示しています。
サブトラックがなければ陸上競技の開催は出来ないので、建設費用のかかる可動式観客席をなくし、球技専用という流れになりました。
しかし、今回政府の可動式観客席撤廃の発表は、秩父宮ラグビー場にサブトラックの建設に難色を示している東京都にサブトラックを造らせる狙いがあるのかもしれません。

サッカーワールドカップ誘致のためには観客席8万人が必要

この可動式観客席の見送りには日本サッカー協会からの圧力もあります。

新国立競技場の6万5千人ではワールドカップ誘致の8万人には満たしていません。そのため何としても8万人の観客席が必要でした。当初は可動式でそれを満たしていましたが、建設費用の見直しから可動式観客席の撤廃になれば、サッカー協会の理解を得られないので、オリンピック後に陸上トラック上に常設席を増設することに決定しました。

しかし、陸上施設としての存続を求める声が多いのも事実です。

このまま球技専用になるとは考えにくいです。政府関係者は、オリンピック後の陸上の是非は決めず、民間の意向も尊重したいと話し、近く五輪後のあり方を考える委員会を立ち上げるとしています。